デジタルメディスンとデジタルDDS

デジタルDDS

デジタルメディスンとデジタルDDS

デジタルメディスン

2017年11月14日、大塚製薬株式会社と米国プロテウス・デジタル・ヘルス社(以下「プロテウス社」)は、世界初のデジタルメディスン「エビリファイ マイサイト」の承認を米国FDAから取得したと発表した。大塚製薬のホームページには次のように掲載されている。

「エビリファイ マイサイト」は、エビリファイの錠剤に摂取可能な極小センサーを組み込んだもので、同剤の適応である成人の統合失調症、双極性I型障害の躁病および混合型症状の急性期、大うつ病性障害の補助療法において使用されます。この錠剤を服用するとセンサーが胃内でシグナルを発し、患者さんの身体に貼り付けたシグナル検出器「マイサイト パッチ」がそれを検出します。この検出器は、患者さんの服薬データだけでなく、活動状況などのデータを記録し専用の「マイサイト アプリ」に送信します。アプリには、睡眠や気分などを患者さんが入力することもできます。これらのデータはスマートフォンなどのモバイル端末に転送され、患者さんの同意があれば医療従事者や介護者との情報共有も可能になります。

大塚製薬ホームページ https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2017/20171114_1.html

なお、2020年11月29日現在、わが国では未承認である。

デジタルカプセル(デジタルピル)

2019年12月9日、米国のetectRx(R), Inc.(etectRx)は、服用型イベントマーカーである「ID-CapTM System」の米食品医薬品局(FDA)認可を発表した。

etectRx Announces U.S. FDA Clearance of Novel Ingestible Event Marker | etectRx
ID-Cap System Uses Advanced Wireless Technology to Reliably Track Ingestion Events GAINESVILLE, Fla. (December 9, 2019) – etectRx®, Inc. (etectRx), a privately-...

ID-CapTM Systemは、1)非消化性のワイアレスセンサーであるID-TagTMをごく一般のゼラチンカプセルに封入したID-Capsule、2)ID-TagTMから送られてくる信号を読み取るウェアブルデバイスであるID-Cap Reader、3)そのReaderからのくすりの服用情報をスマートフォンで表示するためのID-Cap App、4)ウェブベースポータルの医療プロバイダーに転送するThe ID-Cap Dashboardの4つから構成される。ID-Cap Systemは、リアルタイムで服薬イベントの検証を提供する。

ID-Capsule内のID-TagTMを患者が摂取すると、患者の胃液により活性化され、患者の体内から極めて低電力のデジタルメッセージを発信する。そのメッセージは、ID-Cap Reader(ストラップで装着)に送られ、有効な摂取イベントとして検証する。さらに、その摂取イベントデータは、セキュアなスマートフォンベースのモバイルアプリとウェブベースポータルの医療プロバイダーに転送される。etectRxの先進的な通信技術は、将来、さまざまなウエアラブルおよび体外デバイスへのレシーバーの組み込みを可能にする。

現在、HIV患者の服薬アドヒアランスに関する臨床研究が行われている。https://etectrx.com/breakthrough-id-cap-system-from-etectrx-selected-to-measure-adherence-to-hiv-treatment-in-new-university-of-colorado-study/

なお、2020年11月29日現在、わが国では未承認である。

その他、米国では Wireless Capsule Motility SmartPill™ Studyも行われている。

Wireless Capsule Motility SmartPill™ Study https://www.youtube.com/watch?v=DMgjSr3axtc

カプセル内視鏡

カプセル内視鏡とは、カプセル型の小腸及び大腸検査装置。カプセルの形状をしたカプセル内視鏡は、水と一緒に飲み込んだ後、腸管内部を進みながら内蔵の小型カメラで写真を撮像記録する。撮像後、カプセル内視鏡は自然排出される。

カプセル内視鏡は、フラッシュの役割をする白色LED、バッテリー(電池)、画像データ送信機、およびデジタルカメラなどでもよく使われる小型のイメージセンサ(CMOS)などが内蔵されている。

小腸用のカプセル内視鏡のサイズは、長さ約26mm、直径約11mm。大腸カプセル内視鏡のサイズは、長さ約32mm、直径約12mmです。大腸用カプセル内視鏡には前後に内視鏡カメラが搭載されており、片側172°、両側で360°近くの視野角で腸内を撮像できる。消化管内での大腸用カプセル内視鏡の移動がゆっくりの時は毎秒4枚、速い時は毎秒35枚で、大腸用カプセル内視鏡の移動速度に合わせて枚数を調整しながら撮像する。

カプセル内視鏡とは https://nomu-capsule.jp/
カプセル内視鏡 製品名(会社) 説明
小腸カプセル内視鏡

PillCam™ SB 3 カプセル(Medtronic)

小腸疾患の診断を行うために用いられるカプセル内視鏡。超小型カメラを内蔵した長さ約26mm×幅約11mmのカプセルを口から飲み込む内視鏡検査。カプセルは消化管を通過しながら画像を撮像し、画像を記録装置に転送する。医師はこの画像をもとに小腸の診断を行う。また、フレームレート調整機能(AFR)を搭載。小腸疾患が既知又は疑われる患者において、消化管の狭窄が既知または疑われる場合、PillCam™ パテンシーカプセルを用いて、小腸の開通性確認を行った上で使用する。

【適用対象】小腸疾患が既知又は疑われる患者(消化管狭窄又は狭小化を有する又は疑われる場合には、パテンシーカプセルを使用する)

※原因不明の消化管出血を伴う患者に使用する場合は、上部及び下部消化管の検査を(内視鏡検査を含む)行ってから実施する。

オリンパスカプセル内視鏡システム(愛称:Endo Capsule)(オリンパスメディカルシステムズ)

超小型撮像素子を内蔵した外径11mm、全長26mmのカプセル。低消費電力での撮影機能と無線送信技術が搭載されている。口から飲み込んだカプセル内視鏡は消化管の蠕動運動によって消化管内部を移動し、内蔵されたカメラが撮影した画像を体外に送信し画像診断を行う。

【適用対象】上部および下部消化管検査(内視鏡検査を含む)を行っても原因が特定できない消化管出血を伴う患者。

大腸カプセル内視鏡

PillCAM™ COLON 2 カプセル

超小型カメラを内蔵した長さ約32mm×幅約12mmのカプセルを口から飲み込む内視鏡検査。カプセルは消化管を通過しながら画像を撮像し、画像を記録装置に転送します。医師はこの画像をもとに大腸の診断を行います。また、フレームレート調整機能(AFR)を搭載。

【適用対象】大腸内視鏡が施行困難、もしくは、施行困難が想定される患者

 

プレシジョンDDSに関することとして、カプセル内視鏡内のリザーバー内に薬物を貯蔵し、刺激や指示に応答して薬物を放出するシステムは、すでに国内外の企業で開発が進んでいる。

デジタルDDS

「エビリファイ マイサイト」が経口製剤(錠剤)である。過去の本ブロブの投稿 経口放出制御製剤:シングルユニット型とマルチプルユニット型(概要)で紹介したように、経口放出制御製剤には、シングルユニット型製剤とマルチプルユニット型製剤があり、錠剤・カプセル剤・顆粒剤・シロップ剤・ドライシロップ剤が存在する。ここで、センサーのサイズがより小さくなれば、極小センサーを封入した顆粒剤やマイクロカプセルの設計も可能になるであろう。また、時限放出型製剤においては、経口投与後、どれくらいの時間で製剤が崩壊したのかを知ることができるようになるかもしれない。またセンサーのサイズがさらに、サブミクロンやナノサイズまで小さくすることができれば、様々なナノ粒子製剤への搭載も夢物語ではなくなる可能性もある。その場合、当然、センサーのサイズだけでなく、機能向上や安全性の検証などの多くの課題はあるが、今後、非常に魅了的なPDDSの構築が期待される。

期待される各種デジタルDDS製剤

DDS製剤期待される効果
デジタル時限放出型製剤消化管における製剤からの薬物放出開始時間の確認
デジタルマイクロカプセル製剤投与部位におけるマイクロカプセルからの薬物放出開始時間の確認
デジタルリポソーム製剤リポソームからの薬物放出開始時間の確認
デジタルナノ粒子製剤ナノ粒子製剤からの薬物放出開始時間の確認

マイクロマシーンとナノマシーン

前述のように、今後、プレシジョンDDS(PDDS)の開発を加速するためには、ミクロン、サブミクロンおよびナノサイズの極微小センサーの開発が期待される。そのためには、薬学だけでなく、工学との学際的な研究開発のさらなる推進が必要である。工学領域ではすでに、ミクロンサイズのマイクロロボットの研究開発はかなり進んでいるようだ。今回は、関連動画を紹介することにとどめるが、これらのマイクロロボット(マイクロボット)技術やナノロボット(ナノボット)技術は必ずやPDDSの実現に大きな貢献を果たすであろう。

1.顕微鏡ロボットの軍隊はあなたの体をパトロールする準備ができています

An Army of Microscopic Robots Is Ready to Patrol Your Body

2.ナノロボット(ナノボット)Cancer Killing Nanobots

【参考ウェブサイト】

  1. 大塚製薬ホームページ https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2017/20171114_1.html
  2. etectRx(R), Inc.(etectRx)ホームページ https://etectrx.com/etectrx-announces-u-s-fda-clearance-of-novel-ingestible-event-marker/
  3. Wireless Capsule Motility SmartPill™ Studyウェブページ https://www.youtube.com/watch?v=DMgjSr3axtc
  4. コヴィディエンジャパンホームページ https://www.medtronic.com/covidien/ja-jp/products/capsule-endoscopy.html 
  5. オリンパスカプセル内視鏡システム 添付文書 https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/180590/180590_22000BZX01300000_A_01_07.pdf
  6. カプセル内視鏡とは」ホームページ https://nomu-capsule.jp/
  7. SingularityHubホームページ、https://singularityhub.com/2020/09/08/an-army-of-microscopic-robots-is-ready-to-patrol-your-body/ 
  8. An Army of Microscopic Robots Is Ready to Patrol Your Body https://www.youtube.com/watch?v=2TjdGuBK9mI&feature=emb_logo
  9. Cancer Killing Nanobots https://www.youtube.com/watch?v=Cg–UVL9xCc&list=PLvDRMuQieN4BHq8VDXvLzci0t7qFhwNrB&index=100

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