ドラッグデリバリーシステムの目的・種類・方法

DDS概要

ドラッグデリバリーシステムの目的・種類・方法

ドラッグデリバリーシステム(DDS)とは

定義:薬物送達システム
薬物投与経路の最適化を目的とする医薬品の効果をよりよく発揮させるために設計された投与形態(投与法・投与剤形)

主要な3つの技術
・放出制御(コントロールドリリース
・標的指向化(ターゲティング)
・吸収改善

放出制御(コントロールドリリース)

 目的:放出制御とは、放出時間や放出速度を工夫し、薬物を生体に適切な量・速度・時間で送り届けること
意義:
・薬物血中濃度を最適な形に制御
・作用の持続化・向上
・副作用の低減
・服用回数が低減し、アドヒアランスの向上
主な種類(狭義の放出制御) 主な製剤・システム
経口放出制御 徐放製剤、放出制御製剤、放出開始時間制御製剤、時限放出製剤、消化管移動制御製剤、浸透圧ポンプ
外用放出制御 経皮治療システム(TTS)、子宮内避妊システム、口腔粘膜適用製剤、鼻腔粘膜適用製剤
注射・注入型放出制御 埋め込み型注入システム、マイクロスフェア、マイクロカプセル、自己制御型放出システム、刺激応答放出システム(熱、光、超音波、中性子、グルコース、pH、酵素、酸素)
放出制御型デバイス センサーオーグメンテッドポンプ、薬剤溶出型ステント、薬剤塗布型バルーンカテーテル、薬剤塗布ペースメーカーリード、刺激応答放出システム(熱、光、超音波、中性子、グルコース、pH、酵素、酸素)、薬物-医療機器コンビネーション製剤(Drug-Device Combinations=DDC)

表1 主な狭義の放出制御の種類、製剤、システム

主な種類(広義)】 放出制御(狭義)+ 放出促進(崩壊促進、溶解速度促進)

【主な材料】 ・セルロース誘導体 ・高分子重合体、高分子共重合体 ・メソポーラス材料(メソポーラスカーボン、メソポーラスアルミノシリケート、メソポーラスシリカ、金属有機構 造体(MOF)) ・酸化鉄ナノ粒子 ・酸化グラフェン ・ポリシルセスキオキサン

標的指向化(ターゲティング)

目的:生体内で薬物を標的部位(特定の組織、病巣、細胞、細胞内小器官)に送達する。
生体内で標的部分をイメージングする。
薬物を目的の部位(標的部位)に選択的に送達させ、目的以外の部位には分布しないようにすること
意義:
・優れた薬理効果
・副作用の低減
・投与量の減少
主な種類           主な方法・手段
・受動的ターゲティング リポソーム、PEG化リポソーム、多糖被覆リポソーム、リピッドマイクロスフェア、高分子ナノミセル、デンドリマー、マイクロスフェア、エマルション、ナノゲル、スマンクス、磁性担体
・能動的ターゲティング イムノリポソーム、リガンド修飾リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、細胞膜被覆ナノ粒子、抗体、抗体薬物複合体、融合タンパク質、エクソソーム
・逆ターゲティング(リバースターゲティング) 抗原修飾リポソーム
・1次ターゲティング  特定の臓器へのターゲティング
・2次ターゲティング  特定の病巣部位へのターゲティング
・3次ターゲティング  特定への細胞へのターゲティング
・4次ターゲティング  特定の細胞内小器官(オルガネラ)へのターゲティング

表2 主なターゲティングの種類、方法、手段

【その他の素材】
・糖・ペプチド・高分子修飾体
・リピオドリゼ―ション
・抗体
・抗体薬物複合体(ADC)
・融合タンパク質
・ウイルスベクター
・非ウイルスベクター
・プロドラッグ
・エクソソーム
・デンドリマー、デンドロン
・シクロデキストリン
・金ナノ粒子、金ナノロッド、金ナノワイヤー
・銀ナノ粒子
・酸化鉄ナノ粒子
・カーボンナノ材料((グラフェン、ナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤモンド、ナノファイバー)
・量子ドット
・メソポーラス材料
・薬物・医療機器コンビネーション製剤(Drug-Device Combinations = DDC)

吸収改善技術(アブソープション エンハンスメント)

目的:吸収改善とは、疎水性薬物の溶解性や親水性薬物や高分子量薬物の膜透過性を高め、薬物を体循環に移行しやすくさせること。
DDS分野では生体膜透過促進を指すことが多く、血液脳関門(BBB)や消化管以外の粘膜の透過性改善も含む。
・注射以外の各種投与経路を利用した簡便かつ正確な薬物投与が可能になる。
・血液脳関門、血液脳脊髄液関門、血液網膜関門、血液胎盤関門などの関門や鼻脳ルートなどの生体内障壁の制御への応用が可能になる。
主な種類 主な方法・手段
溶解性改善 可溶化剤、固体分散体、固溶体、非晶質化、複合体化、コクリスタル、マイクロエマルション
膜透過性改善 1.物理的方法
イオントフォレシス、エレクトロポレーション、メソポレーション、ソノフォレシス、マイクロニードル、無針注射(圧力)
2.生物学的方法
吸収促進剤、膜透過ペプチド、薬物排出ポンプ阻害剤、粘膜付着性製剤、リポソーム、エクソソーム
3.化学的方法
プロドラッグ、キメラドラッグ、ドラッグキャリア

安定性改善

タンパク分解酵素阻害剤、核酸分解酵素阻害剤
新しい投与経路の開発 経皮投与、経直腸投与、経鼻投与、経呼吸器投与、経膣投与、経眼投与、脳室内投与、髄腔内投与、経耳投与

表3 主な吸収改善の種類、方法、手段

【その他の主な種類】
・各種生体内バリアの透過性向上(消化管粘膜、鼻腔粘膜、肺胞粘膜、口腔粘膜、角膜、角質層、
・新規投与経路(経皮、経肺、経鼻、口腔内、直腸、経眼、経耳、髄腔内、脳室内など
【主な材料】
(狭義)
・吸収促進剤
・各種酵素阻害(タンパク質分解酵素、核酸分解酵素、糖分解酵素、薬物代謝酵素)
・膜透過ペプチド
・プロドラッグ
・粘膜付着性基剤
・多糖類(キチン、キトサンなど)
・リポソーム
・エクソソーム
(広義)
・可溶化剤(界面活性剤、シクロデキストリン、高分子ミセル、アルブミン、酸化グラフェン)
・安定化剤
・固体分散体
・固溶体
・コクリスタル
・マイクロエマルション
・自己乳化型マイクロエマルション
・薬物・医療機器コンビネーション製剤(Drug-Device Combinations = DDC)
 イオントフォレシス、エレクトロポレーション、メソポレーション、ソノフォレシス、無針注射器. マイクロニードル

主な参考資料

1.ドラッグキャリア設計入門 DDSからナノマシンまで、片岡一則(編集)、原島秀吉(編集)、丸善出版(2019).

2.図解で学ぶDDS 第2版、橋田充(監修)、高倉喜信(編集)、じほう (2016).

3. 進歩する薬物治療 DDS最前線 第2版、金尾義治、廣川書店(2010).

4. DDSの基礎と開発、永井恒司監修、シーエムシー出版(2000).

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