
製剤からの薬物放出制御法
経口放出制御(コントロールドリリース)製剤
1950年~1980年ごろ | 1980年~2010年ごろ | 2010年~2040年 |
ベイシック放出制御 |
スマートデリバリーシステム |
モジュレイティッド放出 |
デリバリーシステムの物理化学的特性の制御に成功 | 生物学的障壁の克服 | 物理化学的及び生物学的障壁の両者を克服 |
放出制御(コントロールドリリース)製剤の放出制御法
製剤からの薬物放出を制御する方法として、膜透過制御型、マトリックス型、イオン交換樹脂型、浸透圧ポンプ型、刺激応答型、デバイス制御型、細胞制御型などが知られている。しかし、デバイス制御型及び細胞制御型という用語はまだ確立していない。
放出制御法 | 膜・基剤・デバイスなど | 特徴 |
膜透過制御型(リザーバー型) | 不溶性放出制御膜 |
難水溶性の高分子を放出制御膜として利用して、薬物の放出速度を制御 0次速度で薬物を放出 |
水溶性放出制御膜 | 水溶性高分子を放出制御膜として利用して、薬物の放出速度を制御 | |
マトリックス型 | 不溶性マトリックス型 |
生体内非分解性かつ難水溶性の高分子を利用 Higuchi式に従った薬物放出 |
膨潤性マトリックス型 | 水で膨潤してゲル化する高分子を利用 | |
崩壊性マトリックス型 |
生体内分解性の高分子を利用 Korsmeyer-Peppas モデルに従った薬物放出 |
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イオン交換樹脂(レジネート)型 | イオン交換樹脂 |
イオン性薬物をイオン交換樹脂にイオン結合で吸着させ、消化管のイオンと徐々にイオン交換され、薬物が徐放出される。 |
浸透圧ポンプ型 | 半透膜 |
浸透圧を利用して、薬物の放出速度を制御 0次速度で薬物放出 |
刺激応答型 | 内部刺激(pH、酵素、酸素など)応答型基剤 | 内部刺激を利用して、刺激応答的に薬物を放出 |
外部刺激(温度、光、超音波など)応答型基剤 | 内部刺激を利用して、刺激応答的に薬物を放出 | |
デバイス制御型 | ポンプなど | インスリンポンプ(ミニメド 640G システム、メディセーフウィズ)の例のようにデバイスによって薬の放出を制御 |
細胞制御型 | 細胞、細胞膜 | 正常細胞、遺伝子導入細胞、細菌細胞、細胞膜をコーティングした製剤などから有効成分(薬物)を刺激応答的に放出 |
参考資料
1. YH Yun, BK Lee, and K Park, Controlled Drug Delivery: Historical perspective for the next generation, J Control Release. 219: 2–7 (2015).
2. 図解で学ぶDDS第2版、橋田充監修、髙倉喜信編集、じほう(2016)
3. 新・ドラッグデリバリーシステム、シーエムシー 、永井恒司(2000)
4. 最新製剤学第4版、竹内洋文・有馬英俊・平山文俊・山本浩充編集、廣川書店(2016)
5. 臨床製剤学改訂第4版、三嶋基弘・内田亨弘・平井正巳・川嵜博文編集、南江堂(2017)
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